9月の記録的豪雨で氾濫した石川県・能登半島の28河川のうち23河川の流域で、浸水範囲や避難場所などを示した洪水ハザードマップが作成されていないことが20日、各市町への取材で分かった。県が昨年、マップの基となる中小河川の洪水浸水想定区域図を公表、市町が作成に着手したが、能登半島地震が起きて作業中断を余儀なくされた。県は地震による地形変化を踏まえ想定区域図を見直す方針で、マップの作成・公表はさらに遅れそうだ。
豪雨発生から21日で1カ月。度重なる災害に見舞われた被災地では、住民の生活再建のためにも、リスク周知が急務だ。国土交通省によると、中小河川は全国に約1万5千ある。3月末時点で浸水想定区域が設定されている約7千河川の流域では、対象市区町村の31%がハザードマップを公表しておらず、取り組みが求められる。
河川氾濫が発生した輪島市、珠洲市、七尾市、能登町、志賀町への取材では、マップを作成済みだったのは輪島市の河原田川、珠洲市の若山川など5河川だった。