第50回衆院選は27日に投票、即日開票された。自民、公明両党は公示前の計288議席から73議席を減らし、自民派閥裏金事件の非公認前職3人を含めても定数465の過半数(233)を割り込んだ。裏金事件が響いて大敗となった。石破茂首相(自民総裁)の責任論に発展する可能性があり、政権を維持できるかどうかが焦点だ。立憲民主党は公示前の98議席を上回る148議席を獲得。国民民主党は公示前の7議席から28議席に増やした。日本維新の会は公示前43議席を下回り38議席にとどまった。れいわ新選組は3議席から9議席に伸ばした。
自公の過半数割れは、民主党による政権交代となった2009年衆院選以来。公明は公示前32議席から24議席となり、石井啓一代表は落選した。党代表の落選は09年以来。女性の当選者は73人となり過去最多となった。
首相は与党で過半数確保を勝敗ラインに位置付けていた。民放番組で「われわれが掲げた政策の実現に向けて最大限の努力をしていかないといけない」と政権維持に意欲を示した。一方、自民の閣僚経験者は「与党で過半数を取れないのは首相の責任だ」と指摘。立民の野田佳彦代表は「首相指名を取りにいくのは当然だ」と強調した。
自民は公示前の256議席から191議席に減少した。牧原秀樹法相、小里泰弘農相も落選した。国政選での現職閣僚落選は16年参院選以来。
自民党幹部は裏金事件の非公認前職の追加公認は当面、行わない考えを示した。衆院会派の勢力拡大を優先する構えだ。裏金前議員ら12人を非公認とし、公認した34人も比例代表との重複立候補を認めない対応を取ったが、逆風は収まらなかった。非公認候補が代表を務める党支部に対して公認候補の支部と同額の2千万円の活動費を支給していたことも影響した。
立民が確保した148議席は定数の3割以上に当たる。現行の選挙制度が導入されて以降、野党第1党の議席率が3割を超えるのは1996年の新進党、2003年の民主党のみだった。
国民は公示前から4倍、れいわは3倍にそれぞれ増やした。共産党は公示前10議席から8議席に微減。参政党は衆院選で初めて議席を獲得し3議席を得た。社民党は1議席を維持した。政治団体「日本保守党」は選挙区と比例代表で計3議席を獲得した。
共同通信が28日午前4時現在で集計した衆院選の推定投票率は53・84%で、21年の前回選を2ポイント程度下回る可能性がある。有権者の20・11%に当たる2095万5435人が期日前投票した。
衆院選は21年10月以来で、小選挙区定数「10増10減」などを受けた新区割りでの初めての実施。9党など1344人が立候補した。