日銀は31日の金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0・25%程度で維持することを決めた。海外経済は米大統領選を前に波乱含みで、国内も政局が混迷。金融市場の不透明感が強く、利上げを急ぐ必要はないと判断した。
政策金利は景気や物価をコントロールするのに使う。植田和男総裁が午後に記者会見し、決定理由を説明する。
植田氏は9月の前回会合後の会見で、1ドル=160円を超える歴史的な円安が修正され、消費者物価上昇率の上振れ懸念が低下したとして、利上げの判断に「時間的な余裕がある」と述べた。ただ最近は石破政権の不安定化もあって円安が再び加速し、153円台を中心に推移している。
米大統領選は、共和党候補トランプ前大統領と民主党候補ハリス副大統領のどちらが勝っても大規模な財政出動が見込まれる。物価高が再燃すれば、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースが鈍化する可能性がある。市場では、円安が進めば日銀が年内に利上げを迫られるとの見方も出ている。