政府は、能登半島地震などを踏まえ、避難所運営に関する自治体向け指針を本年度内に改定する方針を固めた。被災者の権利保護を提唱する国際基準を反映させる。トイレ数や被災者1人当たりの専有面積など避難環境を改善させる方向で検討している。石破茂首相の掲げる防災強化策の一環。政府関係者が12日明らかにした。
これまでの災害では被災者が体育館に密集し雑魚寝するといった状況が生じ、心身への影響などが懸念されていた。改善に向けた対応を自治体に促すが、人材や財源の不足に悩む地域は多く、すぐに効果が上がるかどうかは不透明だ。
国際基準は「スフィア基準」と呼ばれ、人道支援の基本原則や、避難所が備える最低限の設備などを定めている。プライバシー保護といった理念など反映可能な部分を取り込む方向だ。国の現行指針では、参考として紹介するにとどめていた。
国際基準は確保すべきトイレ数の最低ラインを、発生当初は「50人に一つ」、災害発生中期は「20人に一つ」と掲げる。女性用を男性用の3倍にすることも求めている。