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京極夏彦、“鬼才”ならではの自虐で沸かせる「一応ミステリー作家」 書き下ろしの新作歌舞伎で危うくネタバレ

07/09 13:18

  • エンタメ総合
“鬼才”ならではの自虐で沸かせた京極夏彦 (C)ORICON NewS inc.

 歌舞伎俳優の松本幸四郎、小説家の京極夏彦氏が9日、都内で行われた歌舞伎座『八月納涼歌舞伎』第三部『狐花 葉不見冥府路行(きつねばな はもみずにあのよのみちゆき)』の取材会に参加した。

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 本作は、京極氏が今回の舞台化のために執筆した完全新作で、「姑獲鳥の夏」「魍魎の匣」で知られる『百鬼夜行』シリーズや『巷説百物語』シリーズなどに連なる物語。7月26日に小説版として刊行し、その後8月4日から歌舞伎座で上演されるという新たな試みが採られる。

 京極氏は、はじめに「私は小説家ですから、文字ですべてを表さないと読者に申し訳が立たない。なので、映像化、舞台化しにくいものを書くべきだろうと思ってきたんです」と持論を述べ、過去に実写化されてきた作品などについて「それでも果敢に挑戦される方もいらっしゃって、かなり苦労されてきたと思う」と寄り添いながら「今回は舞台化が前提だったので、僕が同じ苦労をすることになった」と苦笑いを浮かべた。

 さらに「歌舞伎をやらせていただくっていうことは全然想定していなかったんですけど、歌舞伎自体は何度も見ていますし、歌舞伎の台本もよく読んでいた」と告白。そして「これはあんまり知られていないんですけど、一応私、ミステリー作家でもあるんですよ。概ねお化け系の人だと思われているんですけど、一応ミステリーも書いているんですね」と笑い、「そういうところでは、今回も仕掛けを作るべきだろうとは思っていて、歌舞伎でないとできない仕掛けを考えようとは思ったんですが…これ以上言うとネタバレになる」と言葉を濁した。

 最後に歌舞伎の魅力を聞かれると、「伝統って守るものだと言われますが、守りに入ってしまったら終わり。伝統というのは時代に合わせて変わっていくもので、博物館に飾って守らなければいけないようなものは伝統ではないと思うんです」と言い、「歌舞伎はその時代の空気や文化、見ている人たちの気持ちを汲む芸能。届けやすく、わかりやすく、面白くに突出できるのが魅力だと思う」と伝え、「ハードルが高いイメージがあるかもしれませんが、たくさんの人に見てほしいし、楽しんでほしい」と呼びかけた。

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