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教諭、児童を椅子から落とす 須賀川市教委「体罰の認識ない」

08/01 07:55

 福島県須賀川市の小学校に通っていた少年が教諭に服を引っ張られ、椅子から落とされるなどの行為を受けていたことが31日、関係者への取材で分かった。保護者の指摘を受けて学校は調査したが、市教委は「体罰の認識はないが、行き過ぎた指導があった」と釈明。保護者は納得できず市教委に再調査を依頼するも受け入れられず「体罰があったことを認め、改めて処分を検討してほしい」と訴える。

 保護者によると、昨年12月、少年から「先生からいじめを受けた」と打ち明けられた。暴力行為や暴言を受けていたという。保護者は「教育現場でこんな体罰が起きているのか。なぜ当時報告がなかったのか」と学校に事実確認を依頼した。

 学校は教諭や当時の別の児童への聞き取り調査を実施。調査結果などによると、教諭は少年がプリントを出し忘れた際に「お前、頭おかしいんじゃないの」、ハンカチを忘れた際には「汚ねぇ」など複数の暴言を吐いたことが判明。また、少年の反抗的な態度を受け、服を引っ張り、座っていた椅子から落とした。市教委は一部の暴言を除き「不適切な言動があった」と認定。市教委は今年1月、県教委に今回の事案を報告した。市教委によると、教諭には口頭で厳重注意した。

 文部科学省は2022年、教員向けの手引書「生徒指導提要」を改定。不適切な指導の例として▽大声で怒鳴るなどの威圧的な言動▽殊更に児童生徒の前で叱責するなど、児童生徒の尊厳を損なうような指導―などを挙げた。ただ、体罰は諸条件などを踏まえ個々の事案ごとに判断する必要があるとしている。市教委は一連の行為に「その子に合わせた指導をしていかなければならなかった」とした。保護者は「教育現場でのいじめや体罰をなくすには、まず組織から変わらないといけない」と強調する。

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