自民党は27日、政府への第13次与党提言を正式決定し、週内にも岸田文雄首相に提出する。取りまとめを主導した党東日本大震災復興加速化本部の根本匠本部長(衆院福島2区)は26日、福島民友新聞社の取材に「提言は第2期復興・創生期間(2021~25年度)終了後の次の復興・創生期間の指針となる」と強調した。
―第13次提言に込めた思いは。
「次の復興・創生期間は『ふるさとの恵みを取り戻し、新たな産業を興し、地域の挑戦を後押しする』をテーマに掲げた。地元が懸念する『第2期後』の復興財源は『十分な確保』を求め、同期間で本県分として用意された1兆2000億円を上回る規模を目指す。物価や人件費の高騰が復興の進展を遅らせることがあってはならず、対応も強く促す」
―掲げたテーマの実現にどう取り組むのか。
「『第2期後』に必要となる具体的な施策を提言に書き込んだ。例えば(新たな加工施設の整備などを支援する)高付加価値産地展開支援事業は、楢葉町でサツマイモの一大産地化が進むなど効果が出ており、今後は営農再開の促進に向け広域的に事業を展開したい。県産品は全国平均との価格差が震災前の水準に戻らないままの品目もあり、国が要因を調査し、必要な対策を講じる事業もより発展させ強力に進める」
―食品の放射性物質の基準値(1キロ当たり100ベクレル)や出荷制限などの規制の妥当性について、提言で検証するよう促している。
「原発事故から13年が経過したが、今も山菜やキノコなどは基準値を少し上回ると出荷が制限されている。山の恵みは福島の大切な資源で、地元からは『(出荷できず)困っている』との声が相次いで寄せられている。消費者の(安全性の)保護は大前提だが、消費量の少ない食品に対する規制の考え方や国際的な観点などを踏まえ、現時点での基準の妥当性について検証が必要だと考える」
―「第2期後」の復興に向けた決意を。
「復興は道半ばだ。震災、原発事故の記憶と教訓だけでなく、予算や施策の必要性についても風化させてはならない。残された課題について、次の5年間で何としても解決していくという強い決意で政府、与党一丸で臨む」