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【9月3日付編集日記】裏をかく

09/03 08:50

 米実業家イーロン・マスク氏が最近、オーナーを務める投稿サイトX(旧ツイッター)にこんな書き込みをした。「言論の自由を主張することが最近、コバヤシマルの問題のようになっている」。コバヤシマルは意訳すると、解決不能。米国のさまざまな映画やドラマに登場する表現だ

 ▼由来は映画「スタートレック2」に登場する、難破船コバヤシマルを救助する仮想現実の試験。絶対に救助が失敗する筋書きで、追い込まれた船長候補生がどう行動をするかをみるためのものとして描かれている

 ▼救助を完遂できたのは、映画の主人公カーク船長のみ。試験前にプログラムを救助可能に書き換えてしまった。「前提条件を変えたまで。勝ち目なしのシナリオなどない」。これをずるいとみるか、爽快とみるか

 ▼教育での新聞活用例を共有するNIE全国大会で、歴史家磯田道史さんが、今後は「人工知能(AI)の裏をかく賢さ」が重要になると強調。新聞を読むことでそれが養われると話した

 ▼現在のところ、AIは前提を疑うことが得意でないように見える。まだ人が上回っている部分だろう。AIに頼り切ってしまい、難破しないための羅針盤として、新聞を役立ててもらえれば。

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