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【9月13日付編集日記】ざくざく

09/13 08:00

 「ワンワン」「そよそよ」といった擬音語、擬態語、いわゆるオノマトペは、多くの言語に存在するが、日本語は飛び抜けて数が多いという。なにしろ県内では郷土料理の名前にまでなっている

 ▼二本松市の周辺や会津の一部で親しまれる汁物が、ご存じ「ざくざく」である。里芋や大根などの具材をざくざくと一口大に刻むので、その名が付いたという説が有力だ

 ▼この、野菜を刻むといった肉体感覚に根差した言葉が、日本語のオノマトペには多い。それで互いに共感するからか、会話を和ませる効果があると、「オノマトペ 擬音語・擬態語の世界」の著者、小野正弘さんは説く。なるほど、祝いの席で供された料理にオノマトペの名が付くのにも一理あるようだ

 ▼食欲の秋である。ただ水を差すように米不足という。秋になり米が一気に出現した31年前の米騒動を思い「慌てず新米流通を待つか」と考えるが、空の米売り場を見ると、もやもやした気分になる

 ▼そんな中、二本松市では観光シーズンに合わせ「ざくざく処」ののぼり旗が、飲食店にお目見えしたという。不安になってはだめ。熱々の汁を食べ、皆で和やかに前へ進もう。何だか、そう励まされているような気がする。

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