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【子育て応援隊】チャイルドシート装着のポイント 正しく使って命を守る

09/16 13:30

学童用のチャイルドシート(ジュニアシート)を正しく装着した例(写真右)と、ジュニアシートを装着せず大人用のシートベルトを使用した例(写真左)。使用しない場合は、肩ベルトが首にかかり、腰ベルトが子どもの腹部に当たり危険です(画像はJAF提供)
JAF福島支部事業課長・田代秀之さん

 小さな子どもを車に乗せるときに使うチャイルドシートは、命を守るために欠かせない道具です。効果的に使うためには、装着するだけではなく、いくつかの大切なポイントがあります。専門家の方に教えてもらいました。

 ぐらつきなくし、しっかりと固定

 チャイルドシートは、乳児用、幼児用、学童用に大きく三つに分かれます。それぞれ、安全に使うための大事なポイントがあります。幼児用と学童用について、日本自動車連盟(JAF)の福島支部事業課長の田代秀之さんに聞きました。

 【幼児用】椅子にハーネス(安全ベルト)が付いているタイプです。ハーネスが緩いと、子どもが動いた際にすり抜けてしまいます。あまりきつくしても嫌がります。ハーネスと子どもの体の間に、大人の指が滑り込む程度の長さに調節して使いましょう。

 ハーネスの上の出口の位置は、子どもの肩より上になるようにしてください。しっかり押さえることができます。

 チャイルドシートがぐらつかないように車に装着することも大切です。ぐらぐらすると子どもが嫌がります。大人だって、椅子がぐらついたら気分が悪くなりますよね。最近は専用の金具で簡単に装着できる「ISO―FIX」(アイソフィックス)のチャイルドシートが多くぐらつきは少ないですが、それでも細部を調整し、完全に固定してください。

 【学童用】ジュニアシートと呼ばれるものです。子どもは車のシートベルトを使います。背もたれつきのものと、座面だけのものがあります。幼児用から学童用に移行したばかりの時期は、まだ体が小さいので背もたれつきを使いましょう。背もたれがあるとベルトの肩口を調整でき、鎖骨の中央を通るよう正しく装着できます。

 腰ベルトは、ジュニアシートの肘置きの下を通してください。肘置きの上を通すと、ベルトが作動した時に思い切りおなかが締め付けられてしまいます。腰ベルトは腰骨に沿うように装着しましょう。肘置きの上を通すのは、装着はしやすいのですが、間違った使い方です。

 座面だけのタイプのジュニアシートは身長が伸びたら使いましょう。

 6歳を過ぎても大人用まだ危険

 道路交通法でチャイルドシートの使用が義務付けられているのは6歳未満です。身長の規定はありません。文科省の学校保健統計調査(2022年度)によると、6歳の平均身長は男子117センチ、女子116センチ。11歳は男子146.1センチ、女子147.9センチです。

 「車は大人用に作られています。想定される身長は150センチぐらいからです」と、田代さん。では、体の小さな子どもが、大人用のシートベルトを使うとどうなるのでしょうか。

 「肩ベルトが首に当たる、腰ベルトが内臓を圧迫するなどの危険性があります」と田代さん。小学生は成長途中で体格が未完成のため、6歳を過ぎても、ジュニアシートで守る必要があるそうです。

 JAFはこれまでチャイルドシート推奨の目安を「身長140センチ未満」としていましたが、安全性向上のために、「150センチ未満」に引き上げました。今後は、身長150センチを超えるまでは大人のシートベルトではなくジュニアシートを使うよう呼びかけていきます。

 福岡市では8月、路線バスと軽乗用車が衝突する事故が起き、軽乗用車の7歳と5歳の姉妹が亡くなりました。2人はいずれも大人のシートベルトを使っていました。

 交通事故の衝撃、装置使って体験

 JAFは各地で交通安全の啓発活動も行っています。猪苗代町で28日に開かれるイベントには、JAFが交通事故の衝撃を再現する装置を設置します。シートベルトやチャイルドシート、ジュニアシートなどを装着し、時速5キロ程度でぶつかった際の衝撃を体験できます。「体験した人は、時速5キロでも衝撃がとても大きいことに驚きます。もし時速40、50キロで衝突したらどうなるのか。シートベルトの必要性も分かってもらえる内容です」(田代さん)

 県内の使用率89% 祖父母、友人の車でも忘れずに

 JAFは、全国の警察と共同で、毎年チャイルドシートの使用率を調査しています。今年は、県内では5月に福島、郡山両市の商業施設で行いました。

 県警が発表したこの調査結果によると、県内のチャイルドシート使用率は89.1%(前年比0.1ポイント減)でした。年齢別では、1歳未満が93.8%、1~4歳が90.8%、5歳が79.5%で、年齢が上がるほど着用率が下がることが分かりました。

 田代さんによると、大人用シートに6歳未満が座っている場合、祖父母や友人の車に乗っているケースもあるそうです。田代さんは「孫を車に乗せる際は、祖父母の方は必ず体格に応じたチャイルドシートやジュニアシートを用意してほしい。いつ事故に巻き込まれるか分かりません。大切な孫の命を守ってください」と呼びかけています。

 Q 子どもが乗りたがらない場合はどうすればいいですか?
 A 気長に、焦らず

 赤ちゃんなら、泣きやんでからそっと乗せるなど工夫してみてください。シートが固定されずぐらぐらしていると乗りたがらないこともあります。
 大きい子の場合は、チャイルドシートやジュニアシートに座ってベルトをしないと車を動かさない、と決めておくと、自分から座ったり装着したりするようになります。気長に、焦らず教えてあげてください。

 Q チャイルドシートから抜け出してしまいます
 A 体格に合わせ小まめに調節

 ハーネスが緩いとすり抜けてしまいます。体格に合わせて小まめに調節してください。冬は、つるつるした素材の防寒着を着ていると、滑ってすり抜けることがあるので、滑らない素材の防寒着を選ぶなどしてください。

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