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【9月23日付編集日記】マングースの悲劇

09/23 08:10

 晴れた日に川や池の縁で、太陽に背を向けて甲羅干ししているカメを見ることがある。のんびりとした光景だが、実はハスなどの植物を食い荒らしてしまう難物だ

 ▼かつて、このカメは縁日の出店の人気者だった。緑の体、顔に入った赤い線が特徴。飼いたいと駄々をこねて、親を困らせた人もいるのでは。北米原産のアカミミガメという外来種で、飼えなくなって捨てられたことにより繁殖した

 ▼県内には、600超の外来種が侵入・定着している。外来種と言うと国外から持ち込まれた生物を想像しがちだが、国内の他の地域から流入してくる国内外来種もいる。いずれも、むやみに持ち込んだり放したりしないよう注意が必要だ

 ▼環境省が鹿児島県・奄美大島のマングース根絶を宣言した。ハブ対策として人の手で放たれたものの、日中に行動するマングースの目は、夜行性のハブには向かなかった。代わりに希少種のアマミノクロウサギなどを襲い、農作物を食い荒らしてしまった

 ▼奄美大島ほど大きな島での害獣根絶は、これまで例がないという。島の面積は福島市とほぼ同じ。県内でも外来種による被害が生じている。マングースの悲劇を今後の防除対策に生かすことが重要だ。

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