いわき市平窪地区の住民が、記録的豪雨で甚大な被害を受けた石川県能登地方にタオルを送る取り組みを進めている。断水でままならなくなっている家屋からの土砂のかき出しに役立ててもらうためだ。背景には5年前の浸水被害の教訓がある。
平窪地区は、2019年の東日本台風で地区を流れる夏井川が氾濫し、多くの住宅が浸水した。当時は能登地方と同様に水が使えない状況で、住宅に流れ込んだ泥を取り除いたり、畳を拭いたりするために全国から寄せられたタオルが役立った。こうした経験を踏まえて地域住民が「恩返し支援」と銘打ち、9月26日からタオルを募り始めた。
窓口の平窪公民館には多くのタオルが集まり、今月1日に松本光司館長(66)が約2千枚のタオルを輪島市社会福祉協議会に届けた。水害被害の教訓に基づく支援で、市社協の担当者からも「これなら(被災者に)すぐに持って行けます」と感謝されたという。
2日現在も公民館の一室にはタオルが積まれ、住民有志がサイズや使用具合に応じ、仕分けをした。松本館長によると「苦しい時に助けてもらって頑張れた。少ししかないけど、お願いね」とタオルを託す住民もいた。
タオルは4日まで公民館で募集している。今後、第2弾として現地に届ける。