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【探検ふくしまカンパニー】福島製鋼・福島市 質高い部品、物流支える

2025/10/01 15:15

車軸を支える「ハウジング」を生産する工場

 物流の要として日本経済を支える大型トラック。燃費向上や排ガスの低減に向けて部品の軽量化が図られる中、車軸を支える「ハウジング」を中心に、建設用や鉄道車両用の鋳造品を独自技術で製造する。

 福島市と相模原市の2カ所に工場を持つ。1953(昭和28)年の設立以来、70年以上にわたって質の高いものづくり技術を培ってきた。日野自動車グループの部品を製造するほか、新幹線用の連結器も手がけ、国内占有率は100%近くに達する。

 強みは、強度と軽量化を実現する鋳鋼と、複雑な形状に適する鋳鉄の技術を使い分け、用途に応じて製品を生み出す独自性。溶解炉で最高1600度に熱せられ、マグマのように赤く染まった鉄が次々と鋳型に注ぎ込まれる光景は圧巻だ。冷却や加工を経て、銀色に鈍く光る製品に生まれ変わるとは想像しがたい。

 品質を損なわずにリサイクルできる鉄は環境に優しい素材といえる。工場では集めたくず鉄や製品を削った端材を溶かして再利用している。加熱で多大なエネルギーを使うこともあり、無駄のない持続可能な鋳造を目指す。

 フライパンなど日用品の製造に乗り出すなど、ものづくりの挑戦はこれからも続く。時代に合わせてロボット導入や従業員の安全意識の向上にも努めてきた。着実に歴史を重ねる中、登坂明弘社長(64)は先を見据える。「目指すのは100年企業。地元密着で世界一の製品を提供する」

◇所在地 福島市笹木野字天竺田8の1

◇創業 1953年

◇売上高 169億円

◇従業員数 約710人

◇勤務形態 昼夜2交代制

◇事業内容 自動車や建設機械、鉄道車両の鋳造品などの生産・加工

◇公式サイト https://www.f-seiko.co.jp/

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