東邦銀行の完全子会社で事業承継などを手がける東邦コンサルティングパートナーズ(TCP)が、今月で開業から3年を迎えた。経営者の高齢化や人口減少などを背景に県内でも企業の休廃業や解散の波が広がる中、事業継続のための仲介役を引き受ける。矢吹光一社長は「企業の持続的発展を目指し、経営課題の解決に向けて伴走支援する」と展望を語った。
矢吹光一社長 事業承継、地域の力に
―県内企業の休廃業状況をどう見ているか。
「帝国データバンクによると、県内では昨年1年間で約870件が休廃業・解散した。その3~4割が経営者の高齢化や後継者不在による黒字倒産という。これは地域衰退や雇用維持に直結する喫緊の課題だ」
―3年間の成果を。
「9月末時点で約2千件の相談があり、M&A(合併・買収)は40件が成約。それだけ需要の高まりを感じているが、利益のために案件を選んでは本末転倒だ。今後も相談を増やしていくことに注力する」
―M&Aに抵抗を感じる経営者もいる。
「M&Aは企業同士の結婚のようなもの。背景にあるのは高齢化だけでなく、将来を見据えた事業戦略の一つと捉えてほしい。東邦銀グループの情報網を最大限生かし、一人で悩みを抱えがちな経営者の良き相談相手として支えたい」
―昨年、福島銀行と企業のM&Aに関して業務提携した。
「地域金融機関の垣根を越えた連携で、幅広い企業からの相談につながっている。契約までは時間がかかるため、長い目で数字に表れることを期待したい」
―今後の展望を。
「経営者が培ってきた技術やノウハウなどの経営支援を承継することで、持続可能な地域を目指したい。承継の責任を伴い、その後の融資にも関わるので私たちも本気だ。事業承継の『プロ集団』として、県内企業に寄り添いながら地域発展に貢献していく」
