国の指定地域外で長崎原爆に遭い被爆者認定されていない「被爆体験者」を巡り、厚生労働省が地域外の状況を検証するため実施した被爆体験記の調査で、雨や降下物の記述を「客観的事実として捉えられない」と11日に結論付けたことを受け、長崎市は20日、厚労省に詳細な説明を求めると明らかにした。
厚労省は、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館が所蔵する体験記など約13万件を対象に調査。被爆地域外の3744件を抽出し、雨に関する記述が41件、飛散物に関する記述が159件あった。
この日、市と市議会でつくる長崎原子爆弾被爆者援護強化対策協議会(原援協)の会合があり、委員から「どうして信ぴょう性がないと判断したのか、詳しく述べてもらうべきだ」との意見が出た。市は近く、説明の機会を設けるよう厚労省に求める方針を示した。
長崎県保険医協会の本田孝也会長は記者会見で「国は雨が降った客観的記録がないと言い続け、体験記にも信頼できるものはなかったと言っているが、資料はいくらでもある」と批判した。