岸田文雄首相は21日に官邸で記者会見を開き、物価高対策として、5月使用分を最後に終了した電気・ガス料金の負担軽減策を「8月からの3カ月間行う」と述べ、補助を再開する方針を明らかにした。ガソリンや灯油など燃油価格の抑制策は年内に限り継続する。今年秋に経済対策の策定を目指すとした上で、年金世帯や低所得者を対象に給付金を支給することを検討する考えも示した。
内閣支持率が低迷する中、物価高に直面する家計負担の軽減策を追加し、政権浮揚につなげる思惑もありそうだ。ただ国の財政負担はさらに膨らむ恐れがあり、政策の一貫性を欠く迷走ぶりも浮かぶ。政府関係者は同日、経済対策の財源確保に向け、2024年度補正予算編成を検討すると明らかにした。
大手電力10社の7月請求分(6月使用)は補助金廃止により、うち8社が比較可能な範囲で過去最高となる見通しだ。記録的な円安は続いており、輸入物価の上昇が消費を冷やし景気の足かせとなる懸念も強い。
年金は24年度改定では、年金額の伸びが物価高に追い付かず、実質的に目減りする。