製紙大手の北越コーポレーションが27日に新潟県長岡市で開く定時株主総会で、岸本晢夫社長の解任議案が採決される。投資ファンドの提案に大株主が賛同、両者だけで議決権の4割を占めるため賛否は拮抗しそうだ。近年は企業による株式持ち合いが減少、かつてなれ合いが目立った経営陣と株主の関係は変質してきた。可決されれば極めて異例の事態だが、トップが退場を迫られるケースは今後、増えそうだ。
香港系投資ファンド「オアシス・マネジメント」は北越株の約20%を保有する。大王製紙との経営統合を求めてきたが、岸本氏との対立を深め、解任の提案に至った。16年にわたり社長を務める岸本氏を「ワンマン経営だ」と批判する。
この提案に10日、大王海運が賛意を表明。北越の買収防衛策などへの不満を理由とする。大王海運は大王製紙創業家の井川俊高氏が実質支配。北越株の保有を増やし、グループで約21%を握る大株主だ。北越は過去、大王製紙の経営陣と対立した同社の株式を買い取った経緯があり、井川氏らの目的は同社の再支配だと主張している。