発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)が各地の浄水場や河川で検出されている事態を受け、政府が水道水の全国調査に乗り出したことが22日、分かった。汚染の実態把握が急務と判断した。PFASに特化し、小規模事業者にも対象を拡大した大規模調査は初めて。政府関係者が明らかにした。今後進める水質目標の見直しに生かす。
政府が5月下旬、47都道府県の担当部署や国認可の水道事業者などに文書で要請した。PFASの健康影響については確定的な知見がなく、政府は水道水や河川の暫定目標値について、代表的な物質PFOSとPFOAの合計で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)としている。
PFASは水や油をはじき、熱に強い特徴があり、フライパンのコーティングや食品包装など幅広く使われてきた。自然環境では分解されにくく「永遠の化学物質」とも呼ばれる。米軍や自衛隊基地、化学工場周辺で検出される事例が多い。
環境省が河川や地下水を対象にした2022年度の調査では、16都府県で目標値を超えた事例があった。