【ワシントン共同】月面で200カ所以上確認されている「縦穴」の一つが地下空洞につながっており、激しい寒暖差や放射線、隕石から身を隠せる安全な探査基地の適地となる可能性があるとの研究を、イタリア・トレント大などのチームが15日発表した。英科学誌ネイチャーアストロノミーに論文が掲載された。
縦穴は地球から見て中央から東寄りにある「静かの海」にあり、直径と深さは100メートルほど。日本の月周回衛星「かぐや」が2009年に発見した。米国の周回衛星が10年にレーダー観測した結果を解析し、穴の底から西側へ空洞が延びていると推定した。幅45メートル、奥行きは少なくとも25~77メートルだが、実際はもっと奥が深いとみられる。
月の「海」はクレーターに溶岩が流れ出して固まった部分で黒っぽく見える。地下空洞は溶岩が通った跡で、穴はその天井が崩れてできたとの見方があるが実際は謎だ。人類が使える空洞があるかどうかも、実地調査で確定させる必要がある。