太平洋戦争末期、激しい地上戦が繰り広げられた那覇と、原爆が投下された広島、長崎の各市長が戦後80年の節目に合わせ、那覇市で29日、課題となる戦争体験の継承について語り合った。被爆した両親から体験を聞いて育った鈴木史朗・長崎市長は「若い世代にも、被爆前の日常は現在に生きる人間と同じ普通の日常だったと実感してほしい」と呼びかけた。
戦後生まれの3市長は、いずれも身近な人から戦争体験を聞いた記憶を振り返った。体験者の高齢化が進んでいることを踏まえ、松井一実・広島市長は「子どもたちに『あの時代に生きていたら』ということを考えてほしい」。知念覚・那覇市長は「(体験談を)教科書のように話しても響かず、苦しみや悲しみに共感する力を育てる必要がある」と問題提起した。
トークセッションに先立ち、1944年8月に撃沈された疎開船「対馬丸」の生存者照屋恒さん(85)が体験を証言。「戦争は絶対にやってはいけない。子どもたちに悲惨な思いをさせたくない」と訴えた。