東京電力は11日、福島第1原発の処理水放出方針を受け、原発敷地内で進めている放出設備の設置準備について、12日にも海底トンネル掘削に向けた地質調査に着手すると発表した。工事の支障となる地下水が噴出するかどうかを確認するためで、早ければ今月中の完了を見込んでいる。
東電は敷地内の海側に設置する立て坑を起点に海底トンネルを掘り、岸壁から沖合約1キロ先の放水口から、海水で薄めた処理水を放出する計画だ。地質調査では、立て坑の壁を約90カ所をくり抜き、湧水の有無を確認する。調査が完了すれば、トンネル掘削用装置「シールドマシン」を立て坑の壁近くに移動させる。
放出設備の準備を巡っては、このほか海底トンネルの出口に設置予定のコンクリート製の箱状構造物が11日までに完成した。
水質均一化を確認
東電は11日、放出前の処理水をタンク内でかき混ぜ、放射性物質の濃度を均一化する実証試験を行った結果、水質が均一であることを確認したと発表した。
東電によると、放出前に放射性物質の濃度を分析する際、正確な数値を調べるため濃度を均一にする必要があるとし、2月に試験を実施。原発敷地内のタンク10基を使用し、放射性セシウムやストロンチウムなど7核種の濃度を分析した。