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【60年目のフラガール】歴史胸に憧れの舞台へ、きょう5人デビュー

07/05 11:30

デビューが間近に迫り、練習に熱が入る沢田さん(右)

 6月中旬、スパリゾートハワイアンズ(いわき市)の稽古場に、額に汗を浮かべてレッスンに取り組む60期生の新人フラガール5人の姿があった。

 その1人、沢田梨花(さわた・りんか)(18)は浪江町出身。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を受けて避難した郡山市でフラに出合った。

 あさか開成高で同好会に所属していた2年生の頃、フラガールと一緒に踊る機会があった。練習で汗をかいていた自分たちを見て、すっと汗を拭くペーパーを差し出したフラガールの何げない行動に、沢田は感銘を受けたという。「素晴らしい人間性を私も一緒に育てていきたいと思った」。この経験がフラガールを志す決定打になった。

 入社した4月からレッスン漬けの毎日を送る。「思っていたより練習量が多くて、初めは本当に何もできなくて同期みんなで泣いたりしていた」と沢田。5人は5日夜にステージデビューを果たす。

 ハワイアンズは今、コロナ禍からの回復の途上にある。新型コロナウイルスの扱いが5類に移行した昨年度、利用客はコロナ禍前の2019年度との比較で7~8割まで回復した。さらなる集客に向けて、目玉の一つであるフラガールのショーに期待がかかる。ハワイアンズを運営する常磐興産の新社長に就いた関根一志(61)は6月27日の就任会見で、ショーを発展させていく考えを示した。「本場をしのぐほどのポリネシアショーとして、世界随一のものにしていく」

 4月中旬、60期生の初めてのレッスンの日、1期生から指導に当たるカレイナニ早川(92)は、これまでの新人たちにそうしてきたように5人に「自分を愛してください」と言葉をかけた。

 沢田はその言葉を心に刻んだ。「納得のできる踊りができて初めて自分を好きになれると思う。先輩方が受け継いできたことを崩さないためにも、頑張って踊りたい」。数々の困難に打ち勝ってきたフラガールの長い歴史を胸に、初舞台を踏む。(文中敬称略)おわり

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 この連載は須田絢一が担当しました。

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