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福島第1原発2号機、デブリ取り出し準備最終盤迎える

07/06 08:00

東電幹部と意見交換する山中委員長=5日午後

 東京電力福島第1原発2号機の溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的取り出しに向けた準備が最終段階を迎えている。取り出しに向けた機器やルートの確保はほぼ完了し、後は取り出し機器の原子炉格納容器への取り付けや原子力規制委員会の最終確認などを残すのみとなっている。10日には取り出し装置が原発に運び込まれる予定で、準備が順調に進めば、来月上旬までにはデブリ取り出しの準備が整う見通しだ。

 「(デブリの試験的取り出しは)将来の大規模なデブリ取り出しにつながる第一歩だ」。5日に東京電力福島第1原発を視察し、東電による準備の状況などを確認した原子力規制委員会の山中伸介委員長は、試験的取り出しに向けた東電の準備が順調に進んでいることに期待を寄せた。

 当初、2021年に予定されていたデブリの試験的取り出しは、取り出しに使用するロボットアームの開発に時間を要すなどしたため、これまで3度にわたる延期を重ねてきた。今回は取り出し方法を、多額の資金を投入して開発してきたロボットアームではなく、過去の調査で実績のある伸縮式のパイプ型機器に変更。性能を犠牲にしてでも確実性を優先する形で、最初のデブリ取り出しに向けて準備を進めてきた。

 東電は、現時点で作業が順調に進んでいるとし、10日にも機器を第1原発に運び込み、中旬以降には2号機の格納容器に取り付ける計画だ。同時に採取したデブリの重量や放射線量を測定するための設備の設置も行っている。東電は規制委の最終的な使用前検査を8月5日までに受ける予定としており、検査に「合格」すれば取り出しに向けた準備は整うことになる。

 ただ、第1原発では昨年からさまざまなトラブルが相次いでおり、高線量下で行われるデブリの試験的取り出しに向けて不安の声は少なくない。6月には6号機で停電が発生し、使用済み核燃料プールの冷却が約10時間にわたり停止する事態も発生した。原発視察に合わせて東電幹部らと面会した山中氏は、相次ぐトラブルを受けて東電に万全な体制での作業を求めたことを明らかにした上で、デブリの試験的取り出しについても改めて安全に十分注意を払うよう求めた。

 デブリの取り出しは廃炉の最難関とされており、2号機の試験的取り出しでデブリの状況を確認できれば本格的取り出しへの第一歩となる。ただ水素爆発が起きなかった2号機でも原子炉格納容器内部の正確な状況までは把握できておらず、わずかな量の取り出しであっても作業が順調に進むかは未知数な部分は残る。視察後、報道陣の取材に応じた山中氏は「(試験的取り出しは)当然初めてのことでトラブルはあろうかと思うが、経験を積み重ねて本格的なデブリ取り出し、廃炉に向けた作業を進めていってほしい」と語った。

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