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発信機付きホシガレイ放流 稚魚保護へ天敵にも装着、追跡調査

07/10 10:10

(写真上)高級魚ホシガレイの稚魚。超音波発信機を腹の中に取り付けている(写真下)甲羅に超音波発信機を搭載したイシガニ

 高級魚「ホシガレイ」の資源確保を目指し、ホシガレイの稚魚と、稚魚を食べるとされるイシガニなどの天敵に超音波発信機を装着する追跡調査で、福島大と県などは9日、発信機を取り付けたホシガレイの稚魚40匹を相馬市の松川浦漁港に放った。8日には甲羅に発信機を装着したイシガニやマアナゴなど約30匹を放っており、稚魚が食べられる日時や場所を割り出す。

 福島大環境放射能研究所の和田敏裕教授らが9日、相馬市で調査の概要を説明した。稚魚を食べる側と、食べられる側の両方に超音波発信機を取り付けて調査するのは国内初という。

 ホシガレイはヒラメの2~3倍以上の単価で取引される。県水産資源研究所は安定的な漁獲に向け、稚魚の育成と放流を続けているが、放流直後の生存率向上が課題だ。調査で天敵の特定も進め、生存率を高める効果的な放流方法を探る。

 発信機はほぼ3分間隔で超音波を出し、稚魚が天敵に食べられ、含まれる樹脂が胃酸で溶けると、超音波の種類が変わる仕組み。港内の約20カ所に超音波の受信機を設置しており、収集したデータを解析することで、食べられた場所や日時などが特定できるという。

 調査は福島国際研究教育機構(エフレイ)の先端技術展開事業として京都大とも共同で実施している。和田教授は「どこで食べられているかを突き止め、稚魚が生き残る放流技術の開発につなげたい」と述べた。


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