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福島・飯坂に名物マスター 喫茶レストラン「談妃留」経営の82歳

07/16 08:30

シェーカーを振り、カクテルの腕前を披露する佐藤さん

 福島県福島市の飯坂温泉ではかなり顔を知られた存在。現在82歳。県社交飲食業生活衛生同業組合理事長、県みかじめ料排除対策連絡協議会長、福島北地区交通安全協会長など多くの肩書を持つが、多くの人が親しみを込めて「マスター」と呼ぶ。

 軽妙トーク名人芸

 妻と2人で飯坂温泉の喫茶レストラン「珈族亭(かぞくてい) 談妃留(だんひる)」を営む佐藤吉昭さん。年齢を感じさせない、明るいキャラクターで名物的な存在だ。カレー味のスパゲティ「インデアン」など豊富なメニューと、ギョーザなど数々の裏メニューも人気だが、やはりこの店は名物マスター抜きには語れない。客に溶け込む軽妙な話術は名人芸の域に達しており、気付けばいつの間にか家族のような、ほっとできる空間が出来上がる。

 いつも明るく振る舞うが、人生に苦労もあった。高校に入学したが、病気で倒れた親戚を「助けてほしい」と呼ばれ、山梨県の河口湖で写真撮影の仕事を手伝った。実家に戻って高校に通い直す選択肢もあったが、何歳も下の人と勉強することに抵抗を感じた。

 東京・新宿のバーテンダースクールに通い、シェーカーを振る技術を身に付けた。飯坂温泉に戻ってからラテンミュージックの名盤「ハバナ午前3時」にちなんだ喫茶店「ハバナ」を開店。スカイライン開通とともに大勢の観光客が飯坂温泉に訪れ、餃子照井の配達なども手伝いながら必死に働いた。暴力団事務所の撤去運動にも力を尽くした。

 音楽演奏気晴らし

 意外な特技がある。スチールギターの演奏だ。ハワイアンの演奏は驚くような腕前で、気分転換にもなっているという。「店はのんびりやりますよ。音楽でも楽しみながら、長くね」。佐藤さんは肩の力を抜き、今後もマスターの仕事を続けていく。(伊藤俊憲)

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