いわき市小浜地区にある愛宕、那智、津の3神社の合同祭礼が14日、14年ぶりに再開した。若衆らが威勢よくみこしを担いで地区内を練り歩き、五穀豊穣(ほうじょう)や大漁などを祈願した。
恒例行事だった合同祭礼は、東日本大震災で被災した住民の避難により担い手が減少し、継続が難しくなった。132年前に作られたみこしは祭礼のたびに海水に漬かり、屋根を支える部分が腐食するなど経年劣化が進んでいたこともあり、2010年を最後に中断を余儀なくされた。
住民が徐々に地区に戻る中、復活させようという機運が高まった。住民や企業などからの寄付金を10年ほど前から積み立て、みこしや神殿、神旗の修繕費用に活用、再開にこぎ着けた。
若衆らは各神社を巡って祝詞を奏上した後、小浜海岸に向かった。神事に続き、海中渡御を繰り広げた。勇壮な姿に地域住民から歓声が上がった。
再開に向けて陣頭指揮を執った小浜町行政区の鈴木清美区長(68)は「地域の皆さんの協力で再開することができ、涙が出る思いだ。今後も力を借りて神事を継承していきたい」と語った。
合同祭礼は来年以降も「海の日」に合わせて開催する予定だという。