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子育て、防災、観光に注力 須賀川市長初当選・大寺正晃氏に聞く

07/22 10:00

須賀川市長選で初当選を果たした大寺正晃氏

 16年ぶりの須賀川市長選で初当選を果たした新人で前市議会議長の大寺正晃氏(62)は福島民友新聞社のインタビューに応じ、子育て環境の充実や防災・減災対策、福島空港を生かした観光振興などの重点施策に力を入れる考えを示した。新たなリーダーとして、先頭に立って元気なまちづくりを進めていくと強調した。(聞き手 編集局長・丹野孝典)

 ―市議時代の総括と市長としての抱負は。
 「東日本大震災から約半年後の2011年9月の市議選で初当選して以来、4期13年のほとんどが災害対応で、一日も早い復旧・復興が最優先だった。点数を付けることはできないが、日々全力を尽くしてきた。これからは市長として子育て環境の充実、財政再建と職員の働き方改革、元気あるトップセールスを3本柱に掲げて取り組みたい」

 ―震災や東日本台風など度重なる災害で市内は甚大な被害を受けた。防災・減災への取り組みは。
 「災害が大規模化、広域化しており、今後ますます近隣市町村や県、国との連携が重要になる。自ら積極的に出向いて連携を訴えかけていきたい。災害からの復旧・復興のために予算を使ったことで(市の貯金に当たる)財政調整基金の残高が減ってしまった。財政調整基金の積み立てにも早急に取り組む。必要な予算はカットせずに、市の不要な財産を売るなどして、決算剰余金を積み立てる手法を取りたい。災害廃棄物を一時的に保管する土地の確保も必要だと考えている」

 ―人口減少、少子高齢化社会への対応は。
 「これまで市は移住政策や企業誘致に力を入れてきたが、子育て政策の充実を大前提に、今住んでいる市民と地元企業に手厚く支援して、まずは足元から固めていきたい。今こそ地元企業の体力や技術力を強化する時期で、新しいことに積極的に取り組む企業へのインセンティブ(刺激)も考えている。市民や企業から『須賀川はいいな』と思ってもらい、定住から移住と企業誘致につなげる波及効果を狙いたい」

 ―来春の利用開始を目指し、JR須賀川駅の新駅舎と東西自由連絡通路の整備が進められている。まちづくりの将来像をどのように描いているか。
 「利便性が向上して人の流れが変わり、公共交通の転換期と捉えている。駅周辺の景色や、交通の結節点としての機能をどのように高めていくか。このほか、旧長沼町や旧岩瀬村など市内各地域の特色を生かすためにも、市街地との接続が重要だ。積極的に実証実験などに取り組み、公共交通の充実に力を入れる」

 ―新型コロナウイルス禍を経て、福島空港の利活用促進や観光などでの地域周遊策が求められる。空港の立地自治体としてトップセールスへの考えは。
 「(福島空港と結ぶ)北海道や大阪、台湾などから来た人たちに、市内に滞在してもらうことが課題だ。モノだけではなく、特撮や昔ながらの街並みなど、市の文化的な要素も織り交ぜて、空港から通過点にならずに市内に降り立ってもらえるような観光施策を考えたい。2~3時間の市内周遊コースを検討し、台湾向けにPRしたい」

 ―市民へメッセージを。
 「まずは何でもやってみるので、いろいろな意見を活発にいただきたい。4年間の『雇われ社長』として市民と従業員(市職員)のために、自分自身が元気なリーダーとして『株式会社須賀川市』を引っ張っていく」

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