福島県川俣町の復興と活性化につなげようと、同町の高野樹さん（２５）が１０日、町中心街にカフェや音楽スタジオなどの複合施設「Ｋａｗａｍａｔａ―ＢＡＳＥ（カワマタ―ベース）」をオープンさせる。同町山木屋地区で育った高野さんは、原発事故後に支えてくれた多くの人に恩返ししようと、「人が集える場所をつくり、活気を取り戻したい」と意欲を見せる。
高野さんは小学６年生の時に原発事故に遭い、山木屋地区から町中心地に避難した。「何も分からず避難した。苦しい状況でもさまざまな人が支えてくれた」。その恩を忘れられず「川俣町、町民のために働きたい」と将来を思い描いた。
福島大を卒業後、町職員として就職。さらに活動の幅を広げようと役場を離れ、同町出身で町地域おこし協力隊の都築魁（すぐる）さん（３０）と共同代表で起業を決意した。
複合施設は商店街に立つビルにあり、１階に２０席ほどのカフェ、２階に音楽スタジオとコワーキングスペースを構える。カフェでは川俣シャモのシャモメンチバーガーやコーヒーなどを提供。シャモ料理を用いたランチプレートも開発中という。
町も中心市街地の活性化に期待しており、藤原一二町長は「若者が店舗を展開してくれるとうれしい」と語る。高野さんは「かつてにぎわった商店街から町全体を活気づけたい」と新たなスタートへの決意を語った。
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