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ふるさと納税「赤字」福島県内は11市町村 最大は郡山市4億5000万円

08/16 08:10

 2023年度のふるさと納税を巡り、県内の11市町村で他自治体に流出した市町村民税が寄付額を上回り、収支が「赤字」となったことが福島民友新聞社の調べで分かった。県内市町村が受けた寄付の総額は過去最高を更新したが、全国的に過熱する「返礼品競争」などを背景に、県内でも自治体間の格差が出ている現状が浮き彫りになった。

 ふるさと納税で寄付を行った人は、翌年度に居住地に納める市町村民税が軽減される。福島民友新聞社は、総務省が公表したふるさと納税の市町村のデータを基に、県内市町村についてふるさと納税の寄付額から他自治体への寄付によって控除された市町村民税額を差し引き、「収支」をまとめた。寄付額と控除額は期間にずれがあるものの、県内の11市町村で控除額が寄付額を上回った。

 赤字となった11市町村は【表】の通り。赤字額が最も大きかったのは郡山市の約4億5000万円で県内自治体で唯一、1億円を超えた。ふるさと納税の寄付額が約2億900万円あったが、他自治体に流出した税収は約6億6000万円と県内で最も大きかった。赤字額が2番目に大きい会津美里町は、他自治体に高額のふるさと納税を行った住民がいたことが大きく影響したという。

 県全体では、ふるさと納税の寄付額は88億6646万円、住民税の控除額は計28億250万円で約60億円の「黒字」だった。市町村別では、収支が最も大きい福島市が約8億8900万円の黒字を確保するなど、自治体によって大きな差が出ている。

 ふるさと納税は、赤字が出た分の75%を国が普通交付税で穴埋めする仕組みで、収支の差額がそのまま税収減にはならない。ただ、赤字額が最も大きい郡山市は「すぐに行政サービスに支障を来す状況にはないが、住民税が流出しているということで影響を及ぼしかねないとの懸念はある」とし、今後は市のブランド力向上や魅力発信などを通じ、寄付額を増やす取り組みを進める考えを示している。また広野町は普通交付税の不交付団体のため、赤字分の補填(ほてん)は行われない見通しだ。町は「昨年度はふるさと納税の募集が半年間しかできなかった」として赤字は一時的とみており、「本年度は収支の改善を図りたい」としている。

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