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「黒子として公正公平に」 パラ車いすバスケ、2大会連続で審判

08/21 08:40

「選手が気持ちよくプレーできるように公正公平なジャッジに努める」と話す二階堂さん

 パリ・パラリンピックは21日で開幕まで1週間。福島県からパラリンピックに2大会連続で“出場”を決めた審判員がいる。二階堂俊介さん(47)=大笹生支援学校教諭=は日本人で唯一、車いすバスケットボールで笛を吹く。先に行われた五輪では審判の立ち振る舞いにも注目が集まっただけに「選手が気持ちよくプレーできるように、試合の『黒子』として公正公平なジャッジに努める」と勇み立つ。

 パリ大会では出場チーム数の減少に伴い、審判員の数も東京大会からさらに少ない20人となった。その狭き門をくぐり抜けた二階堂さんは、前回大会後も全国を飛び回って審判員を務め、更新されたルールの解釈やサインの出し方など研さんを積んできた。昨年6月にドバイで開催された世界選手権や各種アジア大会などでの正確な判断やコート内での動きを高く評価され、パリへの派遣が決まった。

 前回は無観客開催だったため、大勢の観客で埋め尽くされた会場での大仕事に胸を高鳴らせると同時に、「世界最高峰の場」で再び笛を吹くことに責任と重圧を感じている。「レフェリーが注目されるのは誤審をした時。的確な審判をすることが当たり前で、それを取り上げられることはほとんどない」。白熱した試合展開の中で、選手に文句を言われたり、観客から怒号が飛んだりするなど審判員にかかるプレッシャーも大きい。「正しい判断を下すことが大前提。自分が見て判断した考えをぶれずに貫き通すことが重要」と強調する。

 審判員らが目指すのは、選手と同じく決勝の舞台だ。予選からジャッジを採点され、上位決戦で笛を吹く権利が与えられるかが決まる。東京大会では女子1次リーグの開幕試合や女子3位決定戦など計10試合を担当し、日本人で初めて「メダルマッチ」を裁いた二階堂さんは「自分たちも勝負ではあるが、目の前の一戦一戦に真剣に取り組むだけ」と気を引き締める。

 勝負の日に備え、激しい試合展開に付いていく体力づくりのほか、選手やコーチ、ほかのレフェリーとのコミュニケーションに必要となる英語力向上に努める日々を送る。「選手が最大のパフォーマンスを発揮できるよう万全の態勢で試合に臨むだけ」。車いすバスケは29日、戦いの火ぶたが切られる。(多勢ひかる)

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