デブリ採取再開27日以降の見通し 福島第1原発2号機

08/24 07:35

 東京電力福島第1原発2号機の溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的取り出しが準備作業中のミスで中断した問題で、東電は23日、再開は早くても27日以降になるとの見通しを示した。原因究明や再発防止策の取りまとめのめどが立っておらず、早期に再開できるかは不透明な状況だ。

 一方、斎藤健経済産業相は23日、東電の小早川智明社長を経産省に呼び「地元や国内外に不安を抱かせた。猛省を促す」と指摘、原因を究明し、来週中に報告するよう求めた。

 斎藤氏は作業について「協力会社に任せず、東電が全作業に責任を持って取り組むべきだ」と指導。小早川社長は「事前の段取りについて東電が十分に関与できていなかったことや、現場での管理が不足していたのではないかとの課題があると認識している」と述べ、原因究明を急ぐ考えを示した。

 ミスは原子炉格納容器の貫通部に装置を押し込むパイプの接続順を誤った初歩的なもので、東電は関係者への聞き取りを基に再発防止策を講じた上で、装置を正しく設置してから作業を再開する考えだ。

 県会各派、東電に緊急要望

 東京電力福島第1原発2号機で22日に予定した溶融核燃料(デブリ)の試験的取り出しが作業ミスで中断されたことを受け、県議会の自民党、県民連合、共産党の各会派は23日、東電に緊急要望書を提出した。各会派の幹部からは「トラブルが続けば、いつか取り返しのつかない事態を招く」「二度とこんなミスが起こらないようにしてほしい」などと非難が相次いだ。

 自民は「人為的かつ初歩的なミス。これまで以上に緊張感が欠けた印象が拭えず、看過できない」と批判。24日に丸1年を迎える処理水の海洋放出に触れ「順調に進んでいる復興作業にも水を差す形となった」と指摘し、原因究明と確実な再発防止対策を求めた。

 県民連合は「考えられないような単純ミスだ。昨今のトラブル発生状況を踏まえると、県民にさらなる不安と不信をもたらした」と指摘し、再発防止に向けた作業の改善を要請。県民の視点に立った的確、迅速で分かりやすい情報発信に努めることも求めた。

 共産は、廃炉作業の管理体制の抜本的な見直しや作業ミスの原因究明・再発防止に加え、トラブルが続く中での処理水海洋放出の中止も要望した。

 公明党は9月に開催予定の議員総会に東電の担当者を呼び、安全対策の徹底などを申し入れる方針。

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