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クマ対策にAI駆使、福島県が検討 調査から捕獲まで強化方針

09/04 10:00

 クマが本年度から「指定管理鳥獣」に追加されたことを受け、福島県は3日、調査から生息環境管理、捕獲までの各段階で対策を強化する方針を明らかにした。従来の細かい地域単位の実態調査のほか、人工知能(AI)を駆使して効率よくクマを追い払う技術などを検討する。本年度の目撃件数が過去最多のペースで推移する中、来年度にも新たな対策を導入したい考えだ。

 県野生鳥獣保護管理検討会のツキノワグマ部会が福島市で開かれ、学識経験者らが対策の方向性を協議した。

 県によると、生息数や密度などの調査はこれまで統計学を基に全県の状況を推定。今後は細かく地域を設定し、収集したデータを行動特性の解明や効率的な捕獲につなげる方針を示した。全国ではAIを活用してクマを自動認識し、光や音、臭いで追い払う技術の導入が進んでおり、県も大学などと連携して活用を図る。

 2013~23年度のクマ目撃数と推定生息数は【グラフ】の通り。23年度の目撃数は709件、推定生息数は4451頭で、直近10年はいずれも増加傾向にある。今年は4~8月の目撃数が510件(8月26日現在)に上り、統計がある06年度以降で年間最多だった23年度(8月末時点で444件)を上回るペースだ。

 県が8月に実施した市町村アンケートの結果からは、人里近くでの出没が増えている状況が示唆された。県は「人への警戒心が薄れ、奥山ではなく人里近くを生息域とするクマが増えた可能性がある」と分析。本年度は市街地に出没する「アーバンベア」に衛星利用測位システム(GPS)発信器を装着し、行動圏を把握する調査を始めている。

 環境省は8月、指定管理鳥獣の対策に充てる自治体向け交付金のメニューを公表した。県は交付金を活用し、本年度中に実効性の高い対策を打ち出す。

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