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新米値上げ、理解と不安 消費者…おいしいのなら、生産者…利益上がり意欲

09/07 08:25

開店と同時に昨年産のコメを買い求める人たち=6日午前9時、伊達市・みらい百彩館んめ~べ

 新米の店頭価格の基準となる2024年県産米の「JA概算金」が前年度より大幅な増額となった。消費者からは価格上昇への理解や懸念の声がある中、コメの生産費上昇や後継者不足などの課題を抱える農家は「生産者の意欲も増すと思う」と切実な思いを語る。

 「おいしいコメが食べられるのなら、価格上昇は仕方がない」。福島市の30代男性は、概算金の増額に理解を示した。男性は6日、伊達市の「みらい百彩館んめ~べ」で販売された県産の余剰米を購入、「買えてよかった」と安堵(あんど)の表情を見せた。

 余剰米の販売は、コメが品薄となっていることを受けJAふくしま未来が行った。同JAは23年産米42トンを確保し、同日から管内4地区の直売所計10店舗で販売を始めた。1家族1袋という制限だったが、「んめ~べ」では午前中で70袋が売り切れ、コメへの関心の高さをうかがわせた。

 新米の価格上昇が見込まれる中、福島市の70代女性は「農家が一生懸命作っているし、物価高の中でコメだけ安いという訳にもいかない」と受け止めた。一方、伊達市の50代女性は「朝はコメが食べたい。高くなるのは困ってしまう」と心配そうに語った。

 「農業資機材が高騰しており、生産者にとって概算金が上がるのはうれしいこと」。会津坂下町のコメ生産業ティ・ファーミングの玉川数男会長(69)は概算金の増額を歓迎する。

 玉川さんは約40ヘクタールの水田でコメを生産している。生産費の増加に加え、高齢化などを背景に後継者不足の問題を抱える農家もあるといい、「農家の利益が上がることで、生産者の意欲も増すと思う」と期待する。

 「消費者離れ心配」

 福島地区米穀卸商業協同組合によると、概算金の上昇分は販売価格に反映され、JAや業者の買い取り価格の差額が上積みされるという。

 玉川さんは概算金が例年になく大幅な増額となり、「店頭価格が高騰し、消費者離れが心配される」と不安を語る。

 JA全農福島の担当者は、生産資材の高騰が続く農家の状況について「(増額した概算金で)生産コストだけをまかなっても利益が出ない。農家の現状を丁寧に説明しながら、米価の水準を回復させたい」と理解を求めている。

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