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コメ概算金4000~4300円増 福島県24年産、全銘柄1万5000円上回る

09/07 07:35

 JA全農福島は6日の運営委員会で、各JAが生産者に前払いする金額の基準となる2024年産米の「JA概算金」の提示額を決めた。県内全域の主要銘柄で23年産比4000~4300円(1等米60キロ)の増額となった。増額は3年連続で、コメの需給環境の改善や生産コストの影響を加味した。JA全農福島によると、確認が可能な1994年以降、増額幅は過去最大。全ての産地銘柄で1万5000円を上回った。

 コシヒカリは会津産が1万6800円、中通り・浜通り産が1万6400円となり、いずれも前年比4000円の増額。ひとめぼれは前年比4300円増額し、会津産が1万6100円、中通り・浜通り産は1万5900円となった。

 これまでは供給過剰な状況で米価が下がっていたものの、昨年は全国的な猛暑による高温被害で供給量が少ない中、インバウンド(訪日客)が増加し外食需要が拡大。主食用米から飼料用米や備蓄米への作付け転換などにより、コメの需給環境は改善傾向にある。

 また、農家の経営を圧迫している生産資材の高騰などで23年産米のJA概算金も引き上げたが、最終的に農家に支払う代金で生産費を賄えていなかった。JA全農福島はこれらの現状を踏まえ、平均的な生産コストを補うだけの水準に戻すため、増額を設定した。

 24年産米の米価の見通しについては、JA全農福島の担当者は「概算金の増額で米価水準が高まるので、消費者に届ける米価は上がるだろう」と見通しを示しつつ「順次、県内の農協でも新米の検査に入る。新米が市場に出回ることで価格も安定してくると思う」としている。

 23年産の1等米比率は76.4%(23年10月末時点)で、猛暑による高温障害が生じた10年産の74.8%以来の低水準となっただけに、24年産米への期待は大きい。コメの市況調査会社の米穀データバンクによると、本県の24年産のコメ(水稲)の作況指数(平年=100)は「平年並み」の101になると予測。東北農政局県拠点は、県内では主要品種のひとめぼれや天のつぶは例年より3~4日ほど早い10日ごろから刈り取りが始まり、今月中旬ごろから流通する見通しとしている。

 ふくしま未来はさらに引き上げ

 県内各JAはJA概算金を基に、生産者に前払いする「生産者概算金」を算定する。このうちJAふくしま未来は、JA概算金よりも引き上げる方向で検討しており、9日に額を決定する。

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