福島県広野町は30日、東京電力福島第1原発事故で設定された緊急時避難準備区域が解除されてから丸13年を迎えた。他市町村と比べて解除が早かった同町。インフラ復旧や生活環境の整備が進み、住民登録者に占める居住者の割合は9割を超える。町は現在、子育て世代や若年層を呼び込むため「広野駅東ニュータウン」の分譲など移住定住の促進に力を入れる。遠藤智町長は「子育て、教育、就労環境の充実を図る。必ず古里の復興・創生を成し遂げる」と決意を語る。
子育て、教育、就労を充実
遠藤町長に復興の現状などを聞いた。
―解除から13年が経過した現在の状況は。
「生活環境を一つ一つ確立して9割の帰還を成し得た。移住者を受け入れて防災に強い安全・安心な共生のまちづくりに取り組む。復旧再生から復興創生へと希望に満ちた未来にまい進する。多くの皆さまと信頼を深め、互いに尊敬、理解し合うことが重要だ」
―町の課題は。
「人口減少や少子高齢化は全国的な課題だが、震災と原発事故の被災地は傾向が顕著だ。町の出生数は2009年度が47人だったが、22年度は18人にとどまった。町の計画では30年度の人口は6千人が目標。そのため住宅団地の整備や子育て・教育環境の充実を進める。企業誘致で就労環境を充実させて移住希望者に選ばれるようにしたい」
―重視する施策は。
「町の玄関口である広野駅周辺整備を進める。現在、JR東日本が新たな駅舎を建設しており、既存の駅舎は町が交流施設に活用する。駅西側のロータリー整備や駅周辺でのイベント開催でにぎわいをつくる。移住定住に向けて、広野駅東ニュータウンの区画購入者に支援金として300万円を交付する事業も準備している」