喜多方市高郷町で6月に発生した倉庫火災で、倉庫に放火したとして、喜多方署は7日午前9時40分ごろ、非現住建造物等放火の疑いで同市高郷町上郷字山中丙、無職の男(54)を逮捕した。高郷町では長年にわたり不審火が相次いでおり、同署は男が他の火災にも関与している可能性もあるとみて調べている。
逮捕容疑は6月11日、同市高郷町西羽賀字和尚堂の木造平屋倉庫=JA会津よつば所有=に放火し、倉庫を全焼させた疑い。同署によると、男は「間違いない」と容疑を認めている。周辺の防犯カメラの分析などから男が浮上した。同署は会津坂下署と合同捜査体制をつくり、県警捜査1課や県警機動捜査隊と捜査していた。
喜多方市によると、2007年度から現在まで高郷町では51件の火災が発生し、このうち46件が放火または放火の疑いがある火災だった。市は昨年度、町内で空き家などを焼く不審火が6件発生したことを受け、防犯カメラを増設するなどの対策を取っていた。
昨年6月に会社退職
高郷町で長年続いていた不審火。このうち1件について容疑者が逮捕されたことを受け、近隣住民からは驚きと安堵(あんど)の声が聞かれた。54歳の男が昨年6月まで勤めていた会社によると、男はトラブルをきっかけに無断欠勤が続き、自ら退職を申し出たという。
担当者は「社内外でトラブル続きだったが、まさか放火容疑で逮捕されるとは思わなかった」と語った。
男の自宅の大家の70代男性によると、男は数年前に母親が亡くなってから1人暮らしだった。「4、5年前から家賃を滞納しており、4月に自宅に行った際もこちらの問いかけに黙っていた」と話した。市高郷町地域の安全安心を守る住民の会会長は「何年にもわたり不審火が続いてきたので、地域住民の不安は尽きなかった。逮捕は安心につながる」と語った。