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ドローンで風車点検、福島三技協が国内初の商用化 安全性向上や時間短縮

10/10 08:05

ドローンを使った点検の様子

 風力発電設備の保守点検などを手がける福島三技協(福島市)は9日、風力発電設備を雷から守る導線の点検にドローンを活用する技術を開発し、国内で初めて商用化したと発表した。これまでクレーン車やロープを使い、人の手で行っていた作業にドローンを導入することで、安全性の向上や作業時間の短縮につながるとしている。

 同社によると、風力発電施設の風車の羽根には落雷を受け止める金属と、電流を安全に地面に流すための導線が取り付けられている。この導線が断線していると落雷が火災などの事故につながるため、事業者には2、3年に1度、実際に電気を流す「導通点検」が義務付けられている。

 導通点検では現在、ロープやクレーンを使うのが主流で、作業に危険を伴う上、1日に羽根2枚ほどしか点検できない。一方、ドローンを活用すると安全に作業できる上、1日6~9枚の点検が可能になるという。

 同社は導通点検に利用できる機体と点検方法を研究し、2021年に特許を取得。浜通りの企業や福島大などと連携して機体の改良を進め、今年9月に初の商用点検を青森県で実施した。福島イノベーション・コースト構想推進機構が商用化を支援した。

 同社によると、50年度に国内の風力発電設備の発電能力は現在の約25倍に増え、原発130基分を賄えると予測されている。ただ、ドローンなどの新技術を活用しなければ点検に必要な人員も増えるため、人手不足が懸念される。同社市場戦略室の福島雄一室長は「風力発電の拡大には必要な技術。点検の実績を積み上げ、利用拡大につなげたい」としている。

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