衆院選で福島3区に立候補する予定の菅家一郎氏(69)=4期=が党の公認を得られないなど、自民党派閥裏金事件は今も尾を引く。党本部が非公認を発表した9日、有権者は改めて裏金事件に対して厳しい視線を送った。
「基準分からず不公平」の声も
「裏金に関わった議員を非公認とするのは、公正さを守るために必要だと思う。裏金に関わる行為は市民の信頼を裏切るものだからこの措置は妥当だ」。喜多方市の自営業女性(39)は非公認の判断を評価した。一方で「裏金問題は構造的な問題で、個々の議員だけを責めるのは本質的な解決にはならない。真の解決策は、システム全体の透明化や監視強化にあるべきだ」と指摘した。
会津若松市の女性(34)は、非公認は当然の流れだとした上で「公認、非公認の判断基準が分からない。不公平のように感じるので、全員非公認にしてもいいのでは」とした。
「裏金というしきたりをなくすための決断をしたことは評価する」と話したのは白河市の団体職員男性(36)。「これを機に、よりクリーンな選挙構造になっていくのではないかなと感じる」と期待を込めた。
自民党支援者は複雑な思いを口にする。十数年、自民党候補を応援している須賀川市の会社役員男性は「諦めずに頑張ってほしい」とし、南会津町の会社経営男性(75)も「お金に絡むことなので非公認は仕方がないが、党の支援が得られないのは大きく、心配だ」と複雑な思いを語った。
菅家氏「決定、重く受け止め」
9日夜に会津若松市に戻った菅家一郎氏は、会津の県議らと会合を持った後に報道陣の取材に応じた。菅家氏は「党本部の決定を重く受け止める」として無所属での出馬を決断したことを約10分間にわたり淡々と説明した。
菅家氏の事務所はこの日、党本部の非公認の発表を受けて、朝から支援者からの問い合わせに追われた。
菅家氏の対応はどうなるのか、選挙戦はどうなるのか―。ただ、菅家氏本人の決断が明かされない段階では「できる準備を進めるしかない」(事務所関係者)状態だった。
石破茂首相は総裁選告示前日の9月11日に会津若松市で講演会を開いていた。ある後援会関係者は、この経緯も踏まえ「良い結果(公認)を期待していたが…。厳粛に受け止めなければならない」と話した。