米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループは6日、スパリゾートハワイアンズを運営する常磐興産(いわき市)を対象とした第1回株式公開買い付け(TOB)が成立したと発表した。同グループは全体の約7割の株式を取得することになり、常磐興産の完全子会社化が事実上確定した。同グループは全ての株式の取得に向けて手続きを進める。
第1回TOBで同グループは1株1650円で買い付けを行い、常磐興産所有の自己株式を除く株式総数の72.14%を取得。買い付け予定数の下限(50.67%)を上回った。13日から始まる第2回TOBでは1株1240円で買い付けを行うが、すでに大株主らがTOBに応募することに合意しており、2段階のTOBで88.13%を取得する予定。完全子会社化に必要な3分の2以上の株式を取得した同グループは残りの株式の取得手続きを進める。
常磐興産によると同グループは年度内の全株取得を目指していたが、第1回TOB期間が延長されたことも影響し、手続きが来年度にずれ込む可能性があるという。完全子会社化後、常磐興産は上場廃止となる。
同グループは約140億円を投じて買収する。常磐興産の2024年3月期連結決算は売上高148億8100万円、純利益9億3400万円で2期連続の黒字を達成。しかし同期末の有利子負債は299億円に上り、同グループの子会社となることで設備投資資金を確保したい考えだ。
専門家「1桁違う投資可能に」
常磐興産の買収を巡っては、ハワイアンズの今後の発展に期待する声も多い。レジャー産業に詳しい桜美林大の山口有次教授は「設備投資は、レジャー業界の生命線だ。やめれば集客力が落ちてしまう」と解説した上で、「ハワイアンズはグランピング施設や新たなウオータースライダーを整備するなど、魅力向上に努めてきたが、今後は従来とは1桁違う投資が可能になるかもしれない」と指摘した。