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【12月24日付社説】年代別投票率/もっと政治に関心を持とう

2024/12/24 08:15

 1票の積み重ねで社会は変えられる。選挙を通じてより多くの民意を示すために、日頃から政治に関心を持つことが重要だ。

 県選管が、10月に行われた第50回衆院選の年代別投票率をまとめた。10、20代は30%台と特に低かったが、看過できないのは全ての年代で投票率が2021年の前回衆院選を下回ったことだ。

 10代に次いで40、50代の低下が目立った。いずれも6ポイント以上落ち込み、40代の投票率は50%に届かなかった。投票率向上は若者だけでなく、全ての年代の課題だ。

 明るい選挙推進協会が前回衆院選と22年の参院選で行った全国調査を参考に、棄権の理由を考えたい。両選挙とも全ての年代で「選挙にあまり関心がなかったから」が上位に入り、「選挙によって政治はよくならないと思ったから」と答えた有権者も1割以上いた。今回も同様の理由で棄権した人は一定割合いるだろう。

 衆院選の結果、与野党伯仲の国会となったことで、先送りされてきた課題の議論が進んでいる。前回の法改正では含まれなかった政策活動費の全廃など、野党の提案を反映させた政治改革関連3法案が成立する見通しとなった。

 国民の生活などに関わる課題では、所得税が生じる「年収103万円の壁」が見直される。選択的夫婦別姓制度の導入も議論の俎上(そじょう)に載ろうとしている。

 投票率が下がった選挙で国会審議に変化が生まれたのだから、自分一人が投票しなくてもいいと考えてはなるまい。投票率が上がれば国会の勢力図が変わり、より幅広い民意を踏まえた議論や政策の決定が可能となる。

 投票は政治の意思決定過程に関わる行動だ。選挙に意義を見いだせないという有権者は、1票の重要性を改めて認識してほしい。

 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は今月上旬、非常戒厳を宣布し、国会に軍を突入させた。同国民のみならず、選挙を基盤とする民主主義国家にとって衝撃となった。

 一方、与野党議員がまとまり、非常戒厳の解除を求める決議案を可決するなど、権力の乱用を民主的な手続きで抑える仕組みが機能した。国の指導者が持つ権限の強さや戒厳令の有無など、日韓の政治に異なる部分があるものの、議会の手続きを経て課題を改善する民主主義の基本は同じだ。

 与野党伯仲の国会や韓国の政情などは、民主主義を考える格好の教材と言える。学校などには、子どもたちが将来、選挙権を確実に行使し、政治に関わっていく主権者へと育てることが求められる。

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