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【12月25日付社説】ホンダ・日産統合へ/相乗効果を最大限引き出せ

2024/12/25 08:10

 ホンダと日産自動車が経営統合を進めることになった。2025年6月に統合契約を結び、両社を傘下に置く持ち株会社を26年8月に発足させることを目指す。日産と企業連合を組む三菱自動車も来月末をめどに合流を判断する。

 自動車業界は電気自動車(EV)への転換、自動運転の進化などで「100年に1度の大変革期」にあるとされる。今後、主流になるとみられるEV市場は、米国のテスラや中国などの新興メーカーが席巻しており、国内メーカーは技術開発で出遅れが目立つ。

 日本を代表する大手自動車メーカー3社の連合が実現すれば販売台数は計800万台を超え、世界3位に浮上する。規模拡大による経営の効率化などで技術開発への投資を強化することで、競争の激しい自動車業界での生き残りを図るのは理解できる。

 ホンダはハイブリッド車(HV)の販売が好調だが、EVの生産体制は強化の途上にある。日産はEVの量産化で業界を一時リードしたが、中国や米国市場の販売不振で業績が悪化し、大規模なリストラを余儀なくされている。

 自動車分野は日本の基幹産業であり、統合の成否は国内経済の将来を左右しかねない。規模拡大の効果を最大限に引き出し、企業の競争力が高まるよう協議を重ねてもらいたい。

 EV化の流れとともに、自動運転などに使用する車載ソフトウエアの開発、性能の強化が急速に進展している。しかし、ソフト開発には巨額の投資が必要で、資金力のある米巨大IT企業などの参入が相次いでいる。

 自動運転や燃料電池などの技術革新が進む中、自動車業界だけで商品開発を続けるには限界がある。ホンダはソニーと共同出資会社を設立し、EV開発に取り組んでいる。こうした異業種との協業も積極的に進めるべきだ。

 気がかりなのは部品を供給する中小企業への影響だ。統合が実現すれば、コスト削減のため部品の共通化などが図られる可能性が高い。延べ3万5千社にも上るサプライチェーン(供給網)の再編なども検討されるだろう。

 県内には自動車部品を製造する企業が多く、地域経済を支えている。ホンダと日産が有するブランドは存続させる方針だが、販売網の見直しも想定される。両社は取引先や下請け企業の経営に十分配慮し、統合の具体的な内容を検討することが求められる。

 県などは県内企業の動向や雇用への影響などを注視し、必要な対応を講じる必要がある。

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