田村市滝根町の二大観光施設「あぶくま洞」と「星の村天文台」をつなぐ歩道橋「天地人橋(てんちじんきょう)」。その名の通り、天と地に関する二つの施設を結び、上空から見下ろせば「人」の形をしているのが分かる。
あぶくま洞の駐車場北側にある高さ140メートル、幅520メートルの岩壁は石灰岩の採掘跡だ。あぶくま洞は1969年、採掘中に偶然発見されたという。その後調査が進められ、73年に一般公開が始まった。現在は全長4218.3メートルある洞窟のうち約600メートルが公開されている。悠久の時をかけてつくり上げられた大自然の芸術作品が、訪れる人々を魅了している。
標高641メートルの場所にあるあぶくま洞は、天文ファンから「天体観測の宝庫」とも呼ばれている。あぶくま洞がある阿武隈高原一帯の空は澄み渡り、天体観測に適しているためだ。この環境を町づくりに生かそうと、旧滝根町(現田村市)は92年にあぶくま洞とその周辺を「星の村」と命名。中心施設の星の村天文台は大型の天体望遠鏡を備えており、当時は「東北一」の望遠鏡とされた。
天地人橋は崖にせり出すようにループ状に整備され、95年に完成した。天文台のイベントで、ヘリコプターによる遊覧などが行われており、この地の素晴らしさを体験できる機会となっている。