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【ストーカーという病】元加害者が更生を支援 「専用の窓口必要」

2025/11/08 11:30

「ストーカー・リカバリー・サポート」の加害者更生支援プログラムの様子。数人の参加者に守屋代表が言葉をかける(写真の一部を加工しています)

 大阪府を拠点にストーカー加害者の更生支援に取り組む任意団体「ストーカー・リカバリー・サポート」の守屋秀勝代表は、自身も過去に6人の女性にストーカー行為を繰り返した元加害者だ。「元ストーカーにしかできない加害者支援がある」と考え、2016年に団体を設立。当初から、加害者向けの相談窓口の必要性を訴え続けている。

自分自身で答えを

 今年7月、ウェブ会議アプリの画面に映し出された数人の男女。年代も住んでいる場所も違う彼らには、一つの共通点がある。全員がストーカー加害者だということだ。「それじゃ始めようか」。守屋代表の一声で、更生支援プログラムが始まった。

 各自が近況を振り返り、守屋代表が講義した後、参加者による討論が行われた。参加者が相互に議論を深めることで「カウンセラーや医師が与える答えよりも、自分たちで導いた答えの方が頭に残る」と守屋代表は話す。

 「ストーカーは回復できる」と守屋代表は断言する。「ストーカーは恋愛感情を抱いた相手との関係の築き方や適切な距離感が分かっていない」とし「それをグループミーティングやカウンセリング、入院治療などを通じて学ぶ必要がある」と指摘する。目指すのは「自分自身で気持ちの整理がつけられるようになり、行為の責任が自分にあると理解する」ことだという。

 この日プログラムに参加していた大阪府の40代女性は、25年以上前に交際していた男性の影にとらわれ続けてきた。現在も完全に失恋の悲しみが癒えたわけではないが「ご縁がなかったと思えるようになり、心の整理をつけられるようになった」と話す。

抑圧から更生へ

 県によると、ストーカー事案について「被害者支援の窓口はあるが、加害者向けの相談窓口はない」(保健福祉部)という。県警は「検挙や警告の措置を講じても付きまといなどを繰り返す者への医学的アプローチとして、カウンセリングや治療の意思がある者に対し、精神科医と連携し、治療につなげる取り組みを行っている」とする。

 守屋代表は、ストーカー規制法に基づく警告や禁止命令は心理的抑圧に過ぎないと指摘し「我慢はいつか爆発する可能性がある」と語る。「加害者から相談を受け付ける窓口を各都道府県に設置し、ストーカー心理に精通した人物が相談に応じるべきだ」とし、最終的には治療につなげることを提唱する。”抑圧”から”更生”へ。ストーカー対応の変化の必要性が求められている。

 ストーカー加害者の治療 近年はストーカー被害防止に向けて、加害者対策の重要性が注目され始め、医学的アプローチの有効性が指摘されている。警察庁は昨年から、禁止命令などを受けた加害者全員に、カウンセリングや医療機関での治療の有効性を知らせ、受診を働きかける取り組みを始めた。しかし、強制力はなく受診の判断は加害者の任意で、受診率は極めて低い水準にとどまっている。

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