性同一性障害特例法に基づき男性から性別変更した40代女性が、自身の凍結精子を使って女性パートナーとの間にもうけた次女(3)を認知できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(尾島明裁判長)は21日、「血縁上の父の法的性別にかかわらず、婚外子は認知を求めることができる」とし、「父」として認知する初の判断を示した。認めなかった二審東京高裁判決を破棄した。トランスジェンダーの子の権利を保障する司法判断となった。
裁判官4人全員一致の結論。第2小法廷は、認知がない場合には養育や扶養を受けられないほか、相続人になれないといった不利益が生じるとし「子の福祉や利益に反するのは明らかだ」と指摘した。「未成年の子がいない」ことを性別変更の要件とする特例法の規定にも言及し、規定は未成年の子への配慮に基づくもので「認知請求を妨げる根拠とはならない」とした。
補足意見で検察官出身の三浦守裁判官は、「法整備の必要性が認識されながら20年以上が経過し、現実が先行している」と立法での解決を促した。