日銀は3日、約20年ぶりにデザインを刷新した紙幣を発行した。金融機関への引き渡しを始めた。1万円札、5千円札、千円札の3種類で、1万円札の肖像は福沢諭吉から「日本の資本主義の父」と呼ばれる実業家の渋沢栄一に交代。偽造防止のため、肖像の3D画像が回転するように見えるホログラム技術を世界で初めて取り入れた。日銀の本店や支店で銀行などの金融機関に現金が引き渡され、銀行窓口やATMを通じて世の中に行き渡る。旧紙幣も引き続き使える。
5千円札は樋口一葉から女性教育の先駆けとなった津田梅子、千円札は野口英世から近代医学の基礎を築いた北里柴三郎にそれぞれ変更する。裏面は1万円札が東京駅丸の内駅舎、5千円札が藤の花、千円札に葛飾北斎の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」を採用した。
日銀は3日、新紙幣の発行を記念する式典を東京都内の本店で開いた。植田和男総裁は、現金は誰でも、どこでも使える決済手段だとして「今後とも大きな役割を果たしていく」と話した。3日は1兆6千億円分の新紙幣を送り出す予定だという。