金融商品取引法違反の疑いで証券取引等監視委員会の強制調査を受けた三菱UFJ銀行の男性行員が、少なくとも3社の株式公開買い付け(TOB)情報を親族に漏らしたとみられることが9日、関係者への取材で分かった。一部は系列の三菱UFJモルガン・スタンレー証券に出向した際に入手した情報だった可能性がある。
男性が監視委に対し「日常会話の中で未公表情報を口にしてしまったかもしれない」と話していることも新たに判明した。監視委は既に三菱UFJ銀行本社や三菱UFJモルガン・スタンレー証券本社、男性の自宅などを強制調査。東京地検への告発を視野に入れ、漏えいの経緯や目的を慎重に調べている。
関係者によると、取引先上場企業のTOB情報が公表前に親族に伝わっていた。情報公表後に株価は上昇。未公表情報に基づき取引をした親族は、数百万円の利益を得たという。男性は監視委に「利益を得させる目的で伝えたことはない」とも説明。男性自身は取引をしていないとみられる。