金融庁が全上場企業約4千社を対象に、取引先との関係強化を目的に持つ「政策保有株式」を有価証券報告書で正確に開示しているかどうかの調査に乗り出したことが12日分かった。企業が投資家の監視の目をかいくぐろうと、保有目的を偽装している疑いが浮上したためだ。金融庁は今回の調査結果を踏まえ、開示の厳格化など市場の透明化確保に向けた具体策を検討する。
不透明な開示が横行すれば、日本の株式市場全体の信頼を損ないかねない。海外投資家らは、日本企業が持つ資金が成長投資に回らない原因になっているとして、政策株を減らすよう主張。企業側は、保有理由を配当金などが目的の「純投資」と偽装し、圧力をかわすケースが相次いでいるとみられている。
政策株は営業上の関係を強化するために取引先の株式を持つ日本独特の仕組みで、値上がりによる利益や配当金の受け取りを狙う純投資とは区別される。企業が毎年国に提出する有価証券報告書では、政策株の合理的な目的を記載して開示する義務がある。
金融庁は、1年かけて開示の実態を調べる。