中小企業を支援する国の「IT導入補助金」制度を巡り、2020~22年度で少なくとも計約1億3千万円分の不正受給があったことが21日、会計検査院の調査で分かった。ソフトウエアなどを提供するIT業者が中小企業に「自己負担実質なし」などと働きかけ、代金の一部を企業側に還流する「キックバック」が横行。企業側は補助金と還流金を受け取ることで、IT導入費用の自己負担を全額免れたり、支払い代金を超える利益を得たりしていた。
制度では、こうしたキックバックが確認された場合は補助金を取り消すとしている。
また検査院は、23年7月まで事務局だった一般社団法人サービスデザイン推進協議会が、不正の疑義があっても立ち入り調査を一度もしなかったと指摘。事業を行う経済産業省所管の中小企業基盤整備機構に対し、不正受給分を返還させることや不正防止体制の構築を求めた。
検査院は20~22年度交付の約10万4千件(計約1464億円)のうち445件を実地検査。その結果、41件(計約1億800万円)で業者からのキックバックがあった。