シンガーソングライターで俳優の泉谷しげる(76)が、今年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」で甚大な被害を受けた被災者応援を謳って21日に石川県珠洲市で開催予定だった無料コンサートを中止した。
【写真】能登半島へ熱い想い 熱唱する泉谷しげる
能登北部地方に出された「大雨特別警報」を受けて開催を断念したもの。泉谷は「珠洲に向かっていたが、凄い雨で赤土も盛り出ていて土砂災害になりかねない、電波も止まるような状況だった」と語った。
「命の危険が迫っている、直ちに身の安全を確保しなければいけない状況。普段災害が起きないと思われているような場所でも最大級の警戒が必要」。この日、気象庁は最大級の警戒を呼びかけた。
秋雨前線などに向かって台風14号周辺の湿った空気が流れ込んでいる影響で、今回、無料開催を予定していた珠洲市付近は線状降水帯が発生するなど、午前中は記録的な降水量となった。 正午までの12時間雨量は珠洲で218.0ミリと、平年の8月1ヶ月間の雨量を遥かに上回るなど、観測史上最大となった。
今回のコンサートは、昨秋9月に珠洲市の同会場からの「会館自主コンサートをやりたいので来てほしい」というオファーが始まりだった。ところが、それから3ヶ月後、年が明けた元旦に地震と津波が発生。泉谷は「目の前が真っ暗になった」という。その上で「もう出来ない」との思いが脳裏をよぎった。
ところが、幸いにも会場の被害は最小限に済んだことが分かった。水道やトイレ以外はほぼ問題なかったという。そうして同会館から「予定通りコンサートを開催したい。可能なら来て欲しい」と再度、連絡が届いた。泉谷は「さすがに軽はずみな返答はできない」と頭を抱えた。
その後、震災から何ヶ月も経った中でも同市の公道や駐車場は地盤隆起で波打ったままの状況を見て、さすがに「被災者を応援したい」という気持ちでいても立ってもいられなくなった。泉谷は「今の俺に出来ることは何かを考えたよ。で、ギャラなんていらないから、とにかく市民を激励するような無料コンサートをやりたいって。76歳のパワーを見せてやるって言う思いしかなかったね」。
泉谷といえば、過去に1991年の長崎・普賢岳の大噴火や93年の北海道南西沖地震の大津波の時、「一人フォーク・ゲリラ・ライブ」を全国各地で繰り広げた。また95年の阪神・淡路大震災、さらには東日本大震災など災害が起こるたびに被災地への支援を積極的に行い「日本を救え!」と叫び続けてきた。
一方、2010年に発生した口蹄疫で牛に大きな被害が出た宮崎県の復興を応援しようと、宮崎市内で野外ライブ「水平線の花火と音楽」を開催し、14年の阿蘇山中岳で起きた大規模噴火の時は、阿蘇を訪れる観光客が減少、その後も風評被害によって観光客が戻ってこない状況を憂慮し、「エンターテイメントで地域活性」を合言葉に熊本・南阿蘇村で「阿蘇ロックフェスティバル」を5年に亘って開催するなど、文字通り身をもって信念を貫き通してきた。
それだけに「そりゃ、そうだろう。珠洲市に限らず能登の被害の大きさを見させられたら、何かをせずにはいられないだろう」と言い放ち、今回のコンサートに関しても勝手に「無料」と決め、泉谷自身は「偽善行動」「売名行為」と言いながらも、経費の全てを持ち出しで準備してきた。
それだけに悔しさは大きかったはずだが、今回の中止には「もう残念でならない」としながらも、その一方で「今回は中止にしたけど、近いうちに必ず、フリーコンサートというか無料ライブをやる機会を探っていきたい」と新たな意欲に雄叫びを上げていた。
泉谷しげる、きょう石川県珠洲市の無料ライブ中止へ 大雨特別警報で「珠洲に向かっていたが凄い雨」
09/21 17:54
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