現代の社会は孤立した人間の集合体に過ぎなかった。大地は自然に続いているけれども、その上に家を建てたら、忽(たちま)ち切れ切れになってしまった―。夏目漱石は小説「それから」のなかで、主人公にこんな述懐をさせている ▼長く付き合ってきた友との間に修復しがたい亀裂ができたことに、主人公は孤立感を深め世を嘆く。小説が新聞に連載されたのは、日露戦争後間もない明治末期。極東の島国で漱石が見通した社会の実相は...
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